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2007年03月18日

3月議会、尾崎淳一郎議員の総括質問

 尾崎淳一郎

 日本共産党の尾崎淳一郎です。
 総括質疑をおこないます。私は、1.子育て支援について、2.AED(自動体外式除細動器)の配置について、3.生涯学習について、4.多重債務者救済の取り組みについて、の4項目についてお聞きします。
 
先ずはじめに、子育て支援についてお聞きします。
 この間、柳沢厚生労働大臣の発言に国民のきびしい批判と怒りが集中しました。この発言のどこが問題なのか。
 まず柳沢大臣の「女性は子どもを生む機械」という発言が、女性の人格と尊厳を否定する、政治家・閣僚としてはもとより、人間としても絶対に許されない発言であることは論をまちません。
 同時に、それにつづく「あとは生む役目の人が一人頭で頑張ってもらうしかない」という発言には、女性を国家の人口政策の道具としてしか考えない思想があらわれていると思います。ドイツのウェルトという新聞は、柳沢発言を痛烈に批判した日本のコラムニストのつぎのような言葉を紹介しています。「女性は、人口問題を解決するために子どもを生むのではない。幸せのためだ」。その通りだと思います。
 これは、1994年に国連が開催した「国際人口・開発会議」において採択された文書です。ここには、「すべてのカップルと個人が、子どもを生むか生まないか、いつ生むか、何人生むかを自由に決定する基本的権利」をもつこと、個人に国家が「目標や割り当てを強制してはならない」ことが明記されています。私は、日本における少子化問題を克服するうえでも、これは大前提とされるべき原則だと思います。「一人頭で頑張ってもらう」という発言は、この国際的に合意された基本原則に真っ向から反しているところに重大な問題点があります。この発言には、女性を国家の人口政策の道具としてしかとらえない考え方・思想があらわれており、さらには「すべてのカップルと個人が自由に決定する」という国際的な基本原則に反する、ここに反省すべき根本問題があると考えます。
 そこで、三点お聞きします。
 一点目は、柳沢厚生労働大臣の問題発言にもみられるように、子育て支援を「将来の社会を支えるための、女性は子どもを生む国家の人口政策の道具である」といった誤った認識がありますが、市長は本市の子育て支援をどのように考えているのかお応えください。
 二点目は、子育てハッピープランの中には、施策目標として重点事業がたくさん掲げられています。たとえば、病後児保育、児童館事業、妊婦・乳幼児健康診査、青少年教育、教育支援センター、住宅の整備、母子・寡婦福祉資金の貸付、などがあります。19年度は何を具体的に実施するのですか。お応えください。
三点目は、19年度の子育て支援に対する増額交付税措置についてお聞きします。         今、大問題になっている「ワーキングプア」働く貧困層の広がりなど、貧困の問題は国民の一部の問題ではありません。国民のあらゆる層、あらゆる年代をとらえて、それは広がっています。高齢者の中での貧困の広がりも大変に深刻ですが、今日はとくに、子どもの貧困、すなわち貧困な家庭のもとで暮らしている子どもが増えています。
 子どもの貧困というのはすでに、さまざまな社会問題となって現れています。たとえば、静岡県のある中学校で起こったことですが、修学旅行に行けないと申し出た生徒が30名に達し、教師と保護者が何度も話し合って、うち20名は修学旅行に行けたものの、残りの10名は同級生が修学旅行に出かけている間、図書館で毎日を過ごしたとのことです。「先生、おれ、修学旅行には興味がないから平気だよ」と強がりを言っていた生徒たちでしたが、この10名は、級友が修学旅行から帰ったあと、集団で暴れだし、親にも教師にも反抗し、授業も抜け出してとうとう卒業式にも参加することがなかったといいます。この子たちのように修学旅行にさえ行けない生徒が全国の中学校で激増しているという事実があります。これは一例です。
 OECD(経済協力開発機構)が、昨年7月に発表した対日経済審査報告書によれば、とくにその中で重視されていることの一つは、日本の子どもの貧困率が高まっているということです。OECDでは、その国の平均的所得の半分を貧困ラインとしています。日本の場合、夫婦子ども一人の世帯で、手取りで年収240万円が貧困ラインとなります。その貧困ライン以下の所得しかない家庭のもとで暮らしている子どもの割合、これを子どもの貧困率と規定しているわけですが、これが日本では14.3%に達し、OECD諸国平均の12.2%を上回っている。OECDによりますと、日本の子どもの貧困率はこの間じりじりと増え続け、近い将来には、OECD諸国平均の2倍にまで高まる危険があるとされています。OECDのこの報告書は、日本における子どもの貧困率が増大していることについて、つぎのように警告しています。
 「学校教育や塾の費用の高さを考慮すると、貧しい家庭の子どもは不十分な教育しか受けられず、それゆえ、成長の可能性が阻まれがちで、貧困が次の世代に引き継がれていく危険にさらされている」
 OECDのこの報告書は、日本における子どものなかでの貧困の広がりが、一人ひとりの子どもの成長の可能性を阻むだけでなく、貧困が次の世代に引き継がれる危険をつくりだしている点でも、日本の未来にとって重大な問題になっていることを指摘しています。
 また、この報告書では、日本における子どもの貧困率の増大の原因の一つとして、母子家庭・一人親家庭のなかで貧困が広がっていることを重大視しています。母一人子一人の母子家庭の場合、貧困ラインは手取りで195万円。そのライン以下で暮らしている子どもが、なんと57.9%。圧倒的多数です。OECD平均が21.0%ですから3倍近い貧困率になります。アメリカの40.3%、カナダの27.7%、イギリスの20.6%、ドイツの15.3%、イタリアの13.4%、フランスの9.6%、こういう諸国と比べてもだんとつに貧困率が高い。
 NHKテレビの「ワーキングプア」の特集番組で紹介された、ある母子家庭の生活実態は、二人の小学生の子どもを育てながら働いている31歳のお母さんは、昼と夜、二つのパートをかけもちしながら働いている。昼のパートでは時給650円程度にしかならず、手取りが7万円しかありません。そこで夜のパートもかけもちせざるを得なくなりました。帰宅は毎晩真夜中の2時。睡眠時間は4時間から5時間という働きづめの生活が映し出されていました。とりわけ胸にささったのは、このお母さんが番組の中でのべた、「あと10年がんばれば自分の体がボロボロになっても、子どもたちは巣立つ」という言葉でした。
 昼の仕事だけでは生活できない。昼も夜も働き、そのなかで子どもたちと向かい合う時間をどうやってつくりだすかで苦闘している。これは全国の母子家庭の多くの共通した実態です。自分の身も心もボロボロにならなければ、シングルマザーが子どもを育てられない。これはまともな社会とはいえないと思います。
 つぎに、子どもの貧困、母子家庭の貧困という大問題に、政治がどう向き合うかについてみてみたいと思います。一つは、国の予算のあり方です。貧困と格差が広がったら、税制と社会保障によって所得の再配分をおこなう。すなわちお金持ちから所得の低い方に所得の移転をおこない、その是正をはかることが予算のはずです。日本の予算はそういう役目を果たしているかどうか。OECDの報告書から作成したグラフによれば、税制と社会保障による所得再配分で、子どもの貧困率が上がるのか下がるのか、これを比較したグラフです。OECD諸国見ますと、平均で8.3%貧困率が下がっています。すなわち子ども全体の8.3%を、税と社会保障によって貧困から救い出しているのが国際水準です。ほかの国もアメリカで4.9%、カナダで7.5%、ドイツで9.0%、イギリスで12.9%、フランスで20.4%、程度の差こそあれ、税制と社会保障によって子どもの貧困率が削減されています。それに対して驚くことに、日本は逆に1.4%貧困率が増大しています。数にして30万人を超える子どもたちが、税と社会保障によって、逆に貧困ラインの下に突き落とされている。これはびっくりする数字です。これは、所得の低い子育て家庭に対して、あまりにも税金と社会保険料負担が重く、あまりにも子育て支援が貧しいことの結果です。OECDの報告書では、所得配分によって子どもの貧困率が増えるのは、OECD加盟国23カ国の調査のうち、日本だけだと指摘しています。
 世界でも異常な子どもの貧困、母子家庭の貧困に正面から向き合うことは政治の当然の責任です。低所得の子育て家庭は公的負担が重く給付が貧しいという逆立ちした財政の転
換と、最低賃金の抜本引き上げは避けて通れない課題です。              以上のような現状認識に立った上で、お聞きします。                今年度、国が新たに、妊婦検診や虐待防止の子どもを守るネットワークづくり、地域の子育て支援などの事業に対して、交付税を700億円増額すると打ち出しています。本市では、この子育て支援への交付税増額をいかに活用する計画かお聞きします。
 また、昨年3月議会で、私たち日本共産党が取り上げた、妊婦健康診査の無料受診券の4枚配布の継続を求めた提案について、県費補助が廃止されるとの理由により3枚配布という後退した取り組みになっていますが、平成19年1月16日付、厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長通知、「妊婦健康診査の公費負担の望ましいあり方について」によれば、少なくとも5回程度の公費負担を実施することが原則である、と書かれています。     これを受けて、本市としても無料券5枚をめざし、まず19年度、無料券4枚に戻すべきです。そこで、19年度の無料妊婦健康診査は何回実施する計画かお応えください。

次に、AED(自動体外式除細動器)の配置について お聞きします。
19年度は中学校5校にAEDを配置する計画ですが、子どもたちの命を守るために、心強い取り組みであり、高くこれは評価します。引き続き、小学校や公の施設にも配置を急ぐべきではないかと考えますが、その配置計画についてお聞きします。

次に、生涯学習についてお聞きします。
19年度の市民講座数・講座開設費ともに縮小されていますが、誰でも気軽に生涯学習に取り組めるように裾野を広げることにならないと考えますが、その見解をお聞きします。

最後に、多重債務者の救済の取り組みについてお聞きします。
代表質問でも、経済的弱者への支援の中で、多重債務者相談の実施を求めましたが、「現在、本庁舎、綾歌・飯山の市民センターを、曜日を決め、巡回という形で実施している市民相談や、市や社会福祉協議会が実施している弁護士による無料法律相談等を紹介している」との答弁でした。
多重債務者は全国に200万人以上もいて自殺、夜逃げ、離婚、犯罪などの原因となっています。重大な社会問題となっています。
多重債務者のほとんどは、家族に内緒で借金して一人で悩んでいます。自己破産や任意整理といった法的手段でほとんどの多重債務者は救済できます。しかし、法的処理を支援する弁護士や司法書士は国民から見て「敷居が高い」存在となっており、多重債務者はなかなか解決への道筋を見つけられないのです。
そうした状況の中で、住民に身近な自治体が多重債務者救済に積極的に取り組めば大きな効果が上がります。貸金業法成立時の衆院、参院の付帯決議でも「多重債務者に対する相談窓口の設置など多重債務者への支援体制を整備するよう自治体に要請する」といった文言があります。多重債務者対策本部の中の有識者会議では、自治体の多重債務施策の強化の必要性、具体的な強化の仕方が盛んに論じられています。
「借りた人間が悪いのだから、多重債務者の救済に自治体が取り組む必要はない」声も聞きますが、これは明らかに間違いです。借りた人間に問題があることも多いでしょう。しかし、その人が悩んで自殺してしまうのを放置していいのでしょうか。
多重債務者の子どもが思うように進学できない、多重債務が原因で夫婦が離婚して子どもも貧窮生活を余儀なくされる、あるいは子どもの虐待にまでつながる、といったことも珍しくありません。多重債務が解決できれば、本人だけでなく配偶者や子どもなど家中が平穏な生活を取り戻せます。
多重債務者の中には、税金や国民健康保険の保険料、公共住宅の家賃、学校の授業料や給食費などを滞納している人が多いのが実態です。多重債務が解決できれば、こうした滞納が解消します。多重債務者を救うことは自治体への直接的なメリットもあるわけです。
昨年、自殺対策基本法が施行され、国や自治体で自殺対策の取り組みが始まっています。日本の年間の自殺者は3万人を超えており、7,000人から8,000人は経済問題が原因です。その大半が多重債務者とみられます。多重債務者救済に取り組むことは、自殺対策でもあるわけです。
そこで、おききします。
一点目は、相談窓口を設ける計画はありませんか。市民相談や無料法律相談では、対応できないと考えますが、お応えください。
二点目は、多重債務者対策協議会を設置する計画はありませんか。お応えください。
三点目は、多重債務者の救済は自治体にとっても大きな影響があると考えますが、その見解をお聞きします。

以上で、私の総括質疑を終わります。

        

 
 


投稿者 はねだ鉱造 : 2007年03月18日 15:59

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