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2006年04月17日

記者のハートに火がついた

 ことし一月十六日に日本テレビ制作の「NNNドキュメント’ニッポン貧困社会~生活保護は助けてくれない~」を西日本放送(本社高松市)が放映しました。弱者に冷たい政治の流れの中で自治体の生活保護行政現場のドキュメントです。高松市が生活保護の窓口に警官(警察採用職員という)を配置していることなどを取材、報道しています。
 二月八日、増田昌三高松市長がドキュメント制作の日本テレビに「事実を歪曲する偏見に満ちた番組」と抗議文を送りました。
 二十一日には香川大学助教授二氏が「警察採用職員の『ホームレスではいかん。住所いわなかったらいかん』等の発言は生活保護法に違反し申請の権利を不当に制限している」と市長抗議文への抗議と保護行政の改善を申し入れました。
 そして三月三十一日高松市は日本テレビからの「ご指摘を今後の番組つくりに生かし」とした回答(二月二十七日付け)を受けて「抗議を受け止めて報道番組は客観的、かつ公平に取り扱われるよう」と求めて、今度は抗議文ではなく要請書を送ったと発表しました。
 日本テレビは回答で「警察採用職員は一貫して『ホームレスなら保護は受けられない』とのみ繰り返し説明しており、当番組は客観的な事実をありのまま報道した」と述べる一方「三位一体改革の中で地方がしわ寄せを受けつつある点や、地方自治体が苦労していらっしゃる点についてもっと光をあてて報道してほしいという期待の強さ感じた」とも指摘しています。残された問題は高松市がこれから保護行政をどう改善するかです。

 これと平行して高松市を舞台に特別養護老人ホーム「高松さんさん荘」をめぐる贈収賄事件が進行中です。「福祉と利権の構造」という問題意識で真実を追求、報道する地元テレビ局・KSB瀬戸内海放送と事件の主役たちとの間で火花が散る場面が次々と起こっています。
 収賄側の高松市元助役は逮捕・起訴され、裁判も罪を認めてすでに4月4日に結審しています。ワイロを橋渡しした疑惑で失踪中の市議や、贈賄で起訴され辞職した元市議。いずれも与党会派・同志会に所属していました。2月22日の主役ら逮捕で事件解明のため市議会に百条委員会設置の動きがでます。そのなかで「同志会が態度を保留した」と報道したKSBへ「あたかも設置に消極的であるかのように報道された」と同志会が抗議文を24日に出します。
 また市長も昨年11月に記者会見で「(助役がワイロをその場でかえさなかったのは)すぐかえせる場合と1日や2日おいたり、相手の顔つぶしたらいかん場合もありますから……」などと発言しました。理に合わない同志会の抗議、市民には理解できない市長の会見、その一つ一つが「これからの報道内容が答えだ」と記者のハートに火をつけたのです。
 私たち日本ジャーナリスト会議香川支部はNNN ドキュメント制作に協力した西日本放送の記者、議員と行政の癒着・利権のシステムを解明しようとシリーズを組んで追及する瀬戸内海放送の記者を招いて3月例会を開きました。(刎田鉱造)

投稿者 はねだ鉱造 : 2006年04月17日 21:18

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