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2006年03月27日
自治基本条例、討論は抜きになりましたが……
自治基本条例は修正議案に一部手違いがあり、議会運営委員会で検討の結果、討論抜きの採決となりました。そこで日本共産党中谷まゆみ議員が予定していた討論の内容を紹介します。
修正案については一報いただけましたらメイルで送らせていただきます。
丸亀市自治基本条例の討論
日本共産党を代表して、議案第27号「丸亀市自治基本条例について」に反対しこれに対する修正案に賛成する立場で討論をいたします。
今回、制定されようとしている自治基本条例は、これまで、市民が市政の主役といわれながらも、具体的な保障がなかった市政参加を明確にする手続き条例であるとともに、憲法が国民主権を歌い、国家権力に制限をかける理念の集大成であるように、町の憲法といわれる自治基本条例は市民が主権者であるとことを行政との関係で明らかにし、それゆえに最高規範性をもつとされる理念条例でもあります。
私ども日本共産党はこういった2つの貴重な側面を持つ自治基本条例がここ丸亀市においても制定されようとしていることをおおいに歓迎をいたします。
しかし今議会上程されている条例案の内容、又、その条文化までの経過には、これまで市民レベルで積み上げられてきた議論の成果が十分反映されていないと感じます。一例を挙げれば、この間自治基本条例は、私たち市民が主権者としてまちづくりを進めていくんだ、と言う市民の視点からつくられるのが前提と考えられていました。しかし条例案では、条文全体に「市民は~しなければならない」と言う記述が目立つなど、市民からではなく、行政の視点から作られた条文になっているのです。これでほんとうに市民による市民のための自治基本条例を制定するということになるのか、とまちづくりを主体的に考えている市民と行政とのギャップに私はショックを覚えました。
また、条文化にいたる経過についても、市長は「各段階において市民の意見を聞き反映させたもの」と今議会の私どもの代表質問に対する答弁で、ワークショップやパブリックコメント、
策定委員会を説明されました。しかし条例策定に向けて市民が議論を重ねてきたワークショップ等の場と、実際に条文化にあたった策定委員会は別の次元ですすんだという感がいなめません。
旧丸亀時代に自治基本条例を考える会が33回開かれ、その成果も踏まえて、合併後7回のワークショップは開かれました。私も何度か様子を拝見させていただきましたが、委員の皆さんは大変熱心に、これからのまちづくりに市民は何ができるか、行政との共同をどう捕らえるか議論をされていました。そしてその最後の会では、ここで行われた議論がどう条例案に反映されたか知りたい、条例原案ができた段階で、説明の会を持ってほしいと要望がありました。しかしこの要望に答える会は持たれず会は終結しています。
つまり、条例の条文化をした策定委員会に出された「原案」は「ワークショップの意見を反映している」と、理事者の皆さんは説明されますが、当のワークショップに参加した市民は自分たちの意見が「原案」に反映されているかどうか、要望したけど確認する場はなかったのです。これでは、「ワークショップの意見が反映されている」と言うのは行政の一方的な判断です。
そして、実際に条文化に当たった策定委員会は、理事者がまとめた原案が諮問され、それに答えるという形で3回の開催で素案をまとめ、パブリックコメントにかけています。
この、市民レベルの論議と実際の策定段階の経過をみると、市民参加で作る条例といっても、最終的には惹かれたレールはやはり行政ベースではないか、と言う感を市民に与え、今後の市政への市民参加や住民自治の発展に影を落とすのではないかと危惧するのです。
自治基本条例は他の条例策定とは異なり、市民が主体的に作るものであって、いつまでに作らなければならないというものではありません。期間を十分にとって条例原案の段階から最後まで、それまで市民が参加をしてきたように、市民と行政が歩調を合わせて策定をすれば、市民的議論の成果が十分反映できたと思います。しかしそうとはならないまま、今議会に上程されているわけです。
そこで、この条例案に対し私たちは、今までつみ重ねられた市民からの提言や意見の中で、共通して見受けられる課題をもとに、条例案を修正し、本市の自治基本条例として制定するよう強く求めるものです。
市民のみなさんからの提言や出された意見は多種多様で、意見の分かれる課題も多数ありますが、私たちはその中から、この自治基本条例を市民の皆さんが論じたとき、一番の出発点だとされた、私たち市民が主権者であるという、市民主権の理念を条例全体に一貫させること、そして、丸亀市の住民自治を充実させるため、地域内分権の考え方はこれから必要であるという2つの観点に絞って修正を行っています。
具体的に修正箇所をいくつかあげますと、
たとえば、前文は、自治基本条例の趣旨が鮮明になるよう内容を絞り、主権者である市民が自分たちの意思でこの自治基本条例を制定する、と宣言する内容になっています。この修正案の文章はワークショップで出された案をそのまま使っています。
また、ワークショップでも策定委員会においても強調された「情報の共有」と言う点について、第14条の「情報の公開および共有」で、市民の知る権利に呼応するように、市の情報公開へのとりくみを「努めなければならない」という努力規定から、「しなければならない」という義務規定に修正をしています。
また、住民自治を発展させる観点から、地域内分権の制度として、市民の意思決定機関の必要性が議論の場でもたびたび出てきていました。そこで地方自治法に規定された地域協議会というものではなく、任意に地域住民の意思をまとめられる機関として、コミュニティー、市民公益活動団体、その他市民からなる「住民自治協議会」の設置ができることを加えました。この間理事者からは、地域内分権の考え方は必要性は認めるが,機が熟すのを待ってからだ、という説明がされています。しかし私は、今がそのときだと考えます、合併後1年たち、すべての地域でコミュニティーが立ち上がり、自分達の地域は自分達の手で作っていくんだという機運が出ているときだからこそ、さらに住民自治を発展させる制度補強が重要です。
私たちは、今回提案しているこの修正案が丸亀市の自治基本条例としてベストであるとは思っていません。ベストだといえるものは、先ほども申し上げたように、最後の段階まで市民的議論がされてこそいえるものだと考えます。しかしながら、この修正案は、市民が自治基本条例の制定に向けて残してきた足跡に少しでも寄り添うもの、また自治基本条例の理念にかなったものになっていると考えます。
市民が主権者であるということを改めて位置づける条例制定において、その原則をただの建前にせず、この制定の瞬間から実践していくために、この修正案に議員各位のご理解とご賛同を心から求めて、「丸亀市自治基本条例の制定について」の反対討論およびそれに対する修正案への賛成討論といたします。
投稿者 はねだ鉱造 : 2006年03月27日 19:04